一風変わったまちの花屋さん。
密やかな花の小屋にご招待します。
Blumen Hütte 田代さん
ジョンソンタウンの「平成ハウス」に住む田代 新さんは、自宅の1階で花屋「Blumen Hütte(花の小屋)」を営んでいます。ときどき山登りで訪れるという山小屋にちなんだ店名で、初めてタウンを歩いたときも、「どこも小屋っぽくて可愛い。変わったまちだな」と思ったそうです。
故郷の九州では、商店街や飲屋街で3つの花屋を経営していた田代さん。
しかし「一回、離れてみたくなった」と、埼玉県へ移住しサラリーマンに転職。その仕事でジョンソンタウンを知りました。再び、自営業をやろうと考えた際にタウンのことを思い出し、「面白い店ができるかもしれない」と感じて引っ越してきたのです。
Blumen Hütte には、普通の花屋さんにはあるはずの生花用の冷蔵庫がありません。顧客のオーダーや希望を汲みながら季節の花や植物をそのつど仕入れているそうです。「花の衝動買いは期待していないんです。店や僕のことを知ってもらって、その人の日常に花が必要になったときに思い出してもらえればいい」。
室内は自分で改装し、店の外も1年を通じて草花が楽しめるように試行錯誤しています。「イメージが湧くとすぐに形にしたくて、先走って小屋を作り、オーナーの磯野さんに怒られたこともありますよ」と苦笑い。それからは磯野さんとも相談しつつ庭造りをしているとのこと。
また、「このまちに来た人たちのフォトスポットに」との思いから、店内の撮影は基本的にOK。「僕も趣味の写真や中古カメラの店をやろうかなと思ったくらい、今は撮りたい時代ですから。ただし、ここは塀のない小さなまち。住人のプライバシーを守るために商売人も協力して、まず住人に愛される店になることが大前提だと思っています。」
田代さんは、「「米軍ハウス」を借りている人と話すと、すごく愛情が深くて、家の古いところや手のかかるところまで楽しんで生活していることがわかる」と言います。「それは僕にはない価値観でした。冬はとくに断熱性の良い「平成ハウス」で本当によかったなと思います(笑)」。
今後、花屋は「お客さんを自分のアトリエに招くような、ゆっくり過ごせる空間にしていけたら」とイメージしているそうです。
(ライター 細井 安弥)